Tag: 言葉

単なるメッセージとコピーの大いなる違い

「コピーライター養成講座」などではよく、

「コピーライティングは何を(what)どういうか(how)を考える作業だ」と言われます。

自分としては、そこに誰に(who)の要素を入れたり、媒体計画によるwhenやwhereも

重要だなぁと経験上感じていますが、やっぱり行きつくのはwhatとhowです。

このwhatは、その広告において「伝えるべきメッセージ」とも言い換えられ、

制作側が探し出すこともあれば、広告主が指定することもあります。

広告主が指定してくる場合、もっと効果的なwhatを制作側が見つけたとしても、

広告主との付き合いが浅いとなかなか言い出せなかったり、

付き合いが深くても言い出すのにちょっと度胸がいるものです。

話はズレましたが、このwhatをより分かりやすく、気持ちよく、瞬時に伝える言葉が

コピーであり、それを作り出すのがプロフェッショナルの技(how)なのです。

ただ、プロッフェショナルでない人の場合、コピーを作り出すどころか、

書かれている言葉がコピーになっているのか、単なるメッセージのままなのかを

見極めること自体、なかなか困難だったりします。

(単なるメッセージであるwhatが独創的であるなら立派なコピーになりえるが、

なかなかそういう事態は少ない)

端的にいうならば、「コピーは心に届くが、単なるメッセージは届かない」もの。

で、その分かりやすいモデル動画がtwitter上でちょっと話題だったので、拝借。

I’M BLIND PLEASE HELP が上でいうwhat、単なるメッセージで、

IT’S A BEAUTIFUL DAY AND I CAN’T SEE IT. がhowの施されたコピー。

「何を言うか」そのままじゃ、伝わらない、届かない。

でも、世の中を見渡すと、結構こういうのが多い。もったいない。

我が【朝九広告工房】では、「何を言うか」をPROPOSITIONと呼び、

この抽出に労力を惜しみなくかけ、じっくり吟味します。

そのPROPOSITIONが盤石であるほどhowの作業に自信とゆとりを持って

取り掛かれるため、結果としてコピーの精度も上がる、

と言い切っていいかどうか分かりませんが、そのような気概で

仕事を進めています。



文字情報の重み 「絶望ノート」より

つい一気読みした「絶望ノート」(歌野晶午)のなかに、

「なるほどなぁ」な部分があったので、抜粋。

絶望ノート

著者/訳者:歌野 晶午

出版社:幻冬舎( 2009-05 )

定価:¥ 1,680

Amazon価格:¥ 1,680

単行本 ( 382 ページ )

ISBN-10 : 4344016734

ISBN-13 : 9784344016736


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文字による情報は、音声として発せられた言葉より

はるかに厳かで、心がこもり、嘘偽りなどないような

印象を与える。だから人はこの時代になっても、

紙とペンという古めかしい形で遺書を記すのだろう。

ビデオカメラに向かって別れの言葉を遺すのは、

どこか薄っぺらい。

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たしかに、同じ要件でも電話と手紙では重みが違うし、

歌っている歌詞を聴くのと歌詞カードを読むのでは、

伝わってくるメッセージの強さが違ったりもする。

さらにいえば、その文字が活字なのか、手書きなのかでも

重みが変わってくるだろう。「肉筆」という言葉どおりに。

「言葉」や「文字」を介した表現を生業としている以上、

じっくりと考えてみたいテーマのひとつだと思った。



ネーミングと商標、またはコピーライターと弁理士

先週末にいただいていたネーミングのお仕事が一段落。

ネーミングを考えるだけなら、脳がどんどん活性化していくのを感じるような
楽しいしお仕事なのですが、ネーミングにはそのダークサイドともいうべき、
厄介な作業がつき物。

それは、商標調査。

本格的な調査は素人の出る幕ではなく、弁理士が行うのが一般的ですが、
まったくあてずっぽうなネーミング提案も無駄が多いので、
特許庁のデータベースを使って、簡易的に調査してから、
使用可能性なども加味して、クライアント様が支払う調査費用を
極力少なくできるよう、ご提案しています。

まずは、同じネーミングが商標登録されていないかどうかをチェック。
続いて、似たような音を持つ言葉の登録状況をチェック。
また、ネーミング内に含まれている言葉の登録状況やら、
前後の言葉と一塊でならどうかやらを商標区分なども気にしつつ、
言葉を使った、どちらかというと数学的な作業を行います。

まぁ、ネーミングを考える段階でも、アタマの片隅で、
「これはすでに登録されてそうだな」とか
「顕著性なさそうだから、使うことはできるな」とか、
いろいろ気にはしているのですが、最終的に確認。
今回はこの作業で半日以上かかりました。

自分の場合、メーカーでの商標担当の実務経験があるため、
最低レベルの商標知識が仕事を通じて実践的に身に付きましたが、
理屈は分かっていても、実務となると結構大変。
「弁理士事務所がネーミングのサービスしたほうが、効率いいのでは?」
とも、思えてきます。

ということで、「これは!」と思った弁理士さん、いつでもお声掛けください。
喜んでご協力いたしますよ。



ネーミングは誰のために

今朝のニュースで、シャープから新しいタッチパネル端末と

それを用いた電子書籍事業を開始するとの発表を知った。

気になったのはそのサービスブランド名、「ガラパゴス」。

世界標準を意識せず、独自の発展を遂げている

日本のモバイル通信業界について、自嘲気味に使うことの多いこの言葉。

一般的に、商品、サービスのネーミングについては、

その特徴や内容、使用シーンを端的に表す言葉が良しとされることが多いが、

写ルンです、通勤快足など)

今回の「ガラパゴス」は、いい意味でちょっと斜に構えているように見える。

違いは、そのターゲット。

一般的にはユーザに向けられるものを、あえて、自分たちに向けている。

ネーミングによって意思を確固にし、鼓舞するかのように。

「俺たちはシャープは、さらに言えば日本は、これで勝負するのだ」と。

時と場合によっては、こういう離れワザも効くという稀な例。

採用を決定した人の度胸と慧眼、すばらしいと思います。



自民党のCMから何も伝わってこないのはなぜか

選挙を控えた今日この頃、

TVで自民党のCMをよく見かけます。

「よく見かけるなぁ」という印象は残るのですが、

何もメッセージとして伝わってこないのです。

これは、広告として、問題アリではないかと。

どうでしょうか。

CM内で総裁はこう語っています。

「今のあなたと同じように、私も日本の事を熱く思っています。

ものづくり、教育、長生き。

もともと、日本はいちばんの国。

今、この国の経済を立て直す。

くらしの安定を取り戻す。

言うだけでなく実現する。

日本がまた世界でいちばん幸せな国になるために、私たちは実行します。

日本の政党、自民党。」

文字で見ても、「う~ん」な感じ。

なぜか。

まずは、広告の原則

「ワンコピー、ワンメッセージ」が守られていないんじゃないかと。

「ひとつの広告(コピー)では、ひとつのメッセージしか伝えない」という

かなり、初歩的な原則。

逆にいえば、

「いろいろ伝えようとすると、かえって何も伝わらない」ということ。

今回、伝えようとしているメッセージは、

1.私は、あなたと同じように日本のことを熱く思っている。

(自分はそこまで熱く思っているだろうか)

2.ものづくり、教育、長生き、もともと日本はいちばんである。

(そうなんですか、で、もともとって、いつから?)

3.国の経済を立て直して安定化させます。

4.また、世界で一番幸せな国になるために、言うだけじゃなくて、やります。

(以前は、世界で一番幸せな国だったのでしょうか、何を持って?で、やるのは当然。)

と、大きく分けて4つ。

そして、独自の認識、価値観で決めてかかっている前提がいろいろ。

(  )の部分が、個人的な認識、価値観に引っかかったことです。

整理してみると、

・メッセージがひとつに聞こえないこと、

・視聴者の価値観、認識とズレがあるのに、それが正しい前提で

語っていること。

以上が「何も伝わってこない」要因だと思います。

この問題への対応策としては、

まず「何を伝えるか」を決めること。

つまり、今回のCM内容を、ワンメッセージに絞るなら、

「経済の立て直しを図り、安定化させます。」ということではないでしょうか。

で、「何を伝えるか」が決まれば、次は「どう伝えるか」。

そこがクリエイターのウデの見せどころですね。

今回は、総裁がただ語っているだけ。

もっと、料理できると思うのですが。



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